Instagramで優れた顧客体験をもたらし、急成長するアパレルブランド

株式会社LEMONADE

(婦人服小売業、店舗デザイン )

GREAT COMPANY AWARD 2020 ユニークビジネスモデル賞株式会社LEMONADE(婦人服小売業、店舗デザイン )

推薦ポイント

既成概念にとらわれなかったことが強みに

結婚後、子育てをしながらも仕事をしたいと思い、求人募集に応募してみるものの、子どもがいるという理由でなかなか採用してもらえませんでした。それならば自分ができることをしてみようと発想を変え、もともと自分のInstagramにフォロワーがついていたので、大好きな洋服を自分で買い付けして売ってみようと、気負わずに主婦の副業感覚で服の仕入れ販売を始めることにしました。

韓国で買い付けした商品をiPhoneで撮影してネットで売るというシンプルな方法です。今ではこのような販売方法も特別なことではありませんが、2015年当時はまだ珍しかったと思います。

アパレル勤務の経験も専門知識もありませんでしたが、洋服が好きという気持ちだけを原動力に行動していました。そのような状態でも商品登録をして事前に販売開始時刻の予告を出しておくと即時完売ということが続きました。

2週間に一度買い付けして売るというサイクルが5カ月続いた時に法人化することにしました。それと同時に、買い付けした商品ではクオリティ面で満足できないと感じることも増えたため、自社オリジナルで服を作ることも開始しました。1年後には神宮前店に路面店を出すほどに順調に成長していきました。

ブランド名にもある海や旅先で着たくなるようなラインアップ。写真を撮るシチュエーションで着る服ともいえる
ブランド名にもある海や旅先で着たくなるようなラインアップ。写真を撮るシチュエーションで着る服ともいえる

従来にないスピード感で顧客の声を即時反映

Web広告も出さず、教科書的なマーケティングにも頼らず、ただInstagramを使った顧客との対話を重視していました。これだけ身近にコミュニケーションをとるアパレルメーカーは珍しかったと思います。アパレル業界は一般的に、夏に秋冬のアウター受注会をするというようなシーズン前に受注をとる方法が主流で、作る側からお客様への一方通行の発信が常識でした。

『シールーム・リン』では「今日販売する服は、明日着たいと思うものを出す」というお客様側の視点に立って販売しています。具体的にはInstagramの即時性を活用して、いま作成中の来月販売予定の服にお客様からの声を反映するというスピード感で対応しています。

また、社員も自社商品を好んで着こなしているので着心地やデザインに対して活発に意見を出しあってくれています。たとえば、「2サイズだったけどフィットしたほうがキレイに見えるから4サイズに増やそう」「これまではこうだったけど、次はこうやってアップデートしよう」といったように実際に着た人の意見を聞いたそばから反映していきます。

これがお客様にも響いて「もうここでしか服を買えない」というお声をいただいたり、ハッシュタグをつけて「#searoomlynn中毒」とお客様が展開してくれたり、同じTシャツを着るコミュニティができたりと想定以上の反応が起きています。お客様の声に寄り添った服作りをしていた結果、当社のファンになり、リピート購入してくださる方が多いのです。

インスタライブでの一枚。対面の接客に負けないリアルな声を聞き出せる
インスタライブでの一枚。対面の接客に負けないリアルな声を聞き出せる

来店しなくても顧客体験ができる

双方向コミュニケーションを繰り返してわかったことは、お客様は「購入前に疑問を解消したい」ということです。ショップとオフィシャルのアカウントのほかに、PRチーム10名に専用のアカウントを持ってもらい各自にPRを任せています。背の高さや髪型、雰囲気など個性が異なるモデルを選んでいます。

それぞれにキャラクターを打ち出してもらっているので、同じ服を着て登場しても異なった属性のファンがついていきます。女の子は子どもの頃にセーラームーンの中で好きな登場人物を見つけるように、大人になってもロールモデルを探してしまうものです。

自分に近い、親近感の持てるキャラクターを選び、そのモデルをフォローしてくれます。身長が低い方は自分と同じように身長が低いモデルからの着こなし提案を参考にします。インスタライブの等身大モデルを通じて現物確認し、質疑応答もできるので、来店せずとも顧客体験ができるようになっているのです。

会社が順調に成長していたところに新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が出て、店舗を閉めることになった時は真っ青になりました。インスタライブを週1から3回に増やし、ストーリーズのQ&Aを流し続けたことが功を奏して、ECでの売上、営業利益がともに前年同月比の2倍を超えました。

店舗休業の損失を補う以上の利益獲得につながり、今後の店舗の在り方を考える機会になりました。危機だと思い社員が一つになったこと、成功体験を得られたことも思わぬ収穫でした。今後も顧客の気持ちに応え続けながら一歩先を提案できるように工夫をして、ブランドを成長させていきたいです。洋服の販売についてもお店で待っていて売るのではなく、新しい仕組みを創造したいと考えています。

ブランドミッションは「優美凛な女性の創造」憧れを刺激する世界観を写真や動画で伝えている
ブランドミッションは「優美凛な女性の創造」憧れを刺激する世界観を写真や動画で伝えている

『ユニークビジネスモデル賞』
受賞理由

同社は2015年創業の女性向けのアパレルブランド『Sea Room lynn』(シールーム・リン)を展開する会社です。神宮前の直営路面店と主要都市圏の商業施設内での店舗販売に加え、ネット通販で業績を伸ばしています。同社は、注目こそすれど実際に業績に結び付けることが難しい「Instagramマーケティング」のみで、他のWeb広告費はかけずとも、創業5年で年商9億円、『Sea Room lynn』の年間LTV(顧客生涯価値)は業界平均の2.5倍という人気ブランドに成長させました。Instagramの即時性・双方向性という特長を最大限活用し、リアルタイムで得られる顧客の反応を2週間で商品開発に反映させています。ターゲットが憧れる使用シーンやロケーションを演出した写真や動画を展開し、顧客の自己実現欲求を刺激することでファッション好きな女性からの支持を集めることに成功しています。常時接続社会における顧客を中心に置いたCX(顧客経験価値)強化型マーケティングという新しいモデルで成果を出す同社に『ユニークビジネスモデル賞』を贈らせていただきます。

※『グレートカンパニーアワード2020』の審査会は2020年3月30日に開催しました。本審査では2020年3月時点に取得した情報・数値をもとに選考しています。

会社概要
社名
株式会社LEMONADE
創業
2015年
設立
2015年
代表者氏名
大和 梓
資本金
800万円
年間売上
9億7千万円(2019年)
従業員数
45名(2020年5月時点)
本社所在地
東京都渋谷区元代々木町8-5
電話
03-5790-9449
URL
https://searoomlynn.jp/
業務内容
婦人服小売業、店舗デザイン
代表取締役:大和 梓氏
お話し
代表取締役
大和 梓氏