納得のいく人生の最期をチーム医療で支える、在宅医療の普及をリードする医療法人

医療法人社団 悠翔会

(機能強化型在宅療養支援診療所の運営)

GREAT COMPANY AWARD 2020 グレートカンパニー大賞医療法人社団 悠翔会(機能強化型在宅療養支援診療所の運営)

推薦ポイント

治すことより人生観を優先する医療

中学生の時に漫画『ブラック・ジャック』を読み、一人であらゆる病気を治す医者に憧れて外科医になろうと医学部へ進学しました。しかし大学で現場を経験していくと、外科は分業化されたチーム医療だと気づきました。考えあぐねた末、卒業後は総合病院で内科医として勤務しはじめたのですが、5年半ほど経った時に大学院に戻り、再び進路を考えるようになりました。そんな折、在宅医療クリニックのアルバイトで価値観が覆されました。

難病や余命わずかな患者さんと対峙する在宅医療の現場は重苦しいものとばかり思っていたのですが、実際に患者さんの家へ行くと、ペットと戯れたり、好物を食べたりと日常を、自由を、楽しんでいるようにさえ見えました。

在宅医療の先生は患者さんの苦痛を緩和しながら本人が望む生活を送れるように医療を提供していました。これまで見てきた医療は病気そのものの治療を優先するもので、患者さんの価値観を見過ごしていることに気がつきました。この素晴らしい医療を世の中に広めたいと思い、自ら開業することにしました。

医師とスタッフがチームで訪問。住み慣れた環境で医療を受けることができる
医師とスタッフがチームで訪問。住み慣れた環境で医療を受けることができる

自律型組織にしたことで発展

開業と同時に診療理念として患者さんに対し3つの約束を掲げました。

  • 在宅総合診療(さまざまな症状にワンストップで対応する)体制

  • 24時間×365日、確実に対応

  • 価値観・人生観を大切にした医療

この方針が評判を呼び、患者さんも順調に増えていきました。最初は一人で全てを診ていましたが、次第に非常勤の先生や管理栄養士などの専門家にも加わってもらうようになりました。医師、スタッフが増えると患者さんも増えるという成長のスパイラルが起こり、診療所も増えていきました。

当初は全ての診療所を自分で管理するつもりでした。離れていても管理できるようマニュアルを作ると、それが裏目に出ました。メンバーが自分で考えることを放棄し、マニュアルの範囲を超えたことが起こると都度確認がきて、私も現場の実態が見えないまま暫定的な指示を出すといったことが増え、マネジメントの限界を感じるようになりました。

そこで、理念は共有しつつも各診療所の運営は院長に任せ、スタッフにもある程度の裁量を与える自律型組織に変えることにしました。任せる前は心配が先立ちましたが、信頼し自由を許容することで自主性が育ち、トラブルがあってもチーム内で自ら解決する組織になりました。各現場で悠翔会の理念をかたちにするための最適な選択をしてくれています。結果、診療の質も向上し、患者さんも増えています。

2020年初夏に、診療所を3拠点開設しました。その一つである春日部のクリニックは、越谷で働いていた常勤医が担当していたエリアを自分でマネジメントしたいと申し出てくれ、越谷の院長も彼なら任せたいということで発展的に2つに分かれました。ほかの2拠点も発展的な理由で開設に至っています。

地域の多職種向け勉強会。院内だけでなく、積極的に地域の各機関とも連携している
地域の多職種向け勉強会。院内だけでなく、積極的に地域の各機関とも連携している

人生の最期を安心して過ごせるための地域のインフラに

各拠点で自律運営しつつも、よりよい在宅医療を追求するために、悠翔会では4つの指標をKPIとして共有しています。

1つ目は新規の患者紹介数です。在宅医療はほとんどが紹介です。地域から必要とされているのかを紹介数から読み取ります。

2つ目は急変の発生で起こる緊急のコール数を減らすことです。定期診療の際に予防的なケアをすることで、患者さんが夜間や休日に医師を呼ぶ状況を未然に防ぎます。

3つ目は入院日数を減らすことです。患者さんは悠翔会で訪問診療を開始する前は年平均で40日間入院されていますが、開始後は平均で年12日間と30日近く減っています。在宅医療は患者さんのQOLを高めながら、社会保障費を削減することにもつながります。

4つ目は看取り率です。在宅での看取りは最期まで自宅で安心して過ごせた結果としてチェックしています。

高齢化率が上がることは経済学の観点からみるとネガティブに捉えられがちですが、テクノロジーの発展によって体の機能を拡張することが容易になると、老化で体力が落ちることや病気がハンディキャップではなくなるかもしれません。体の不調がある人を一方的に要介護者と分類せずに、社会に参加できる環境をつくることが重要だと思います。

また、今後は年間の死亡者数も急増するので、いずれ病院ではその全てを看取れなくなるでしょう。そのためにも自宅や本人が選んだ場所で安心して最期を過ごせるよう、在宅医療の普及が求められています。

社会復帰のための自立支援、人生の最期の苦痛の緩和という、2つの役割を果たす地域のインフラとして在宅医療が機能を果たしていけるように、悠翔会も成長を続けていきたいと考えています。

熊本大学で行った「豊かな未来を私たちの手で」シンポジウムでの集合写真。在宅医療の理解を促す
熊本大学で行った「豊かな未来を私たちの手で」シンポジウムでの集合写真。在宅医療の理解を促す

『グレートカンパニー大賞』
受賞理由

同法人は2006年に創業し、東京・千葉・埼玉・神奈川の1都3県、(2020年開設予定の3拠点含む*)15拠点に展開するクリニックと(ICTのシステム開発事業を含む)運営サポート会社からなる、在宅医療を推し進めている医療法人です。在宅医療は高齢化率上昇に伴う医療費の高騰、それを抑制するための病床数削減等の解決策とされ、その定着が急務とされています。しかし、24時間365日対応による従事者の負担や診療報酬点数、評価方法の課題から未だ普及が進んでいません。このような難度の高い社会課題に対し、同法人では在宅医療のKPIを設定し、連携・協力機関とともに指標を可視化、診療品質の向上に取り組む一方、患者とその関係者にアンケートを実施し、現場の声を拾い上げるなど実効性のある施策を次々と展開しています。また地域や多職種間をまたぐマネジメントについては自律型にすることで実行スピードを加速させています。在宅医療のパイオニアとして計画を実現し続け、教育性・社会性のみならず収益性をも成立させている同法人に『グレートカンパニー大賞』を贈らせていただきます。
*審査時、開設予定であったクリニック3拠点は、2020年6月(千葉県千葉市稲毛区)、7月(埼玉県春日部市・千葉県船橋市)に開設されている。

※『グレートカンパニーアワード2020』の審査会は2020年3月30日に開催しました。本審査では2020年3月時点に取得した情報・数値をもとに選考しています。

会社概要
社名
医療法人社団 悠翔会
創業
2006年
設立
2008年
代表者氏名
佐々木 淳
資本金
120百万円(基金)
年間売上
27億3,100万円(2020年2月期)
従業員数
142名(2020年7月時点)
本社所在地
東京都港区新橋五丁目14番10号 新橋スクエアビル7F
電話
03-3289-0606
URL
http://www.yushoukai.jp/
業務内容
機能強化型在宅療養支援診療所の運営
理事長:佐々木 淳氏
お話し
理事長
佐々木 淳氏